第八十八章

コンコン……

「入れ」

紬は深く息を吸い込み、ドアを押し開けて中へ入った。デスクに向かって書類に目を通している蓮の姿が見える。彼女は歩み寄り、整理した資料を彼の前に置いた。

「一ノ瀬社長。こちらが現在私が担当している複数のプロジェクトの進捗資料です。そのうちのXXプロモーション計画については、すでに部下に引き継ぎました。今後の進捗は彼女から報告させます」

言い終えると、蓮が顔を上げてこちらを見た。その眼差しは以前と変わらないようでいて、どこか違っているようにも見えた。

「そのプロジェクトは君が直々にまとめたはずだ。なぜ突然他人に任せる?」

蓮は背もたれに寄りかかり、淡々とした表情...

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