第98章

紬は静かに目の前の男を見つめた。結婚してからの三年間、本当にいろいろなことがあったが、蓮が折れたことなど一度もなかった。

この人は一生、雪乃にしか甘い顔を見せないのだと思っていた。まさか、自分のために自らの原則を曲げることがあるなんて。

「だめよ」

紬は静かな瞳で彼を見据え、毅然とした態度のまま言った。

「あなたとは離婚する。話し合いで解決できないなら、法廷で争うまでよ」

その言葉は蓮の胸を鋭く刺した。何か言おうと唇を動かしたものの、傍らにいた峥に遮られる。

峥は蓮に向かって首を横に振り、それから紬へ向き直った。

「紬、今はまだ目が覚めたばかりだ。まずはゆっくり休んだほうがいい...

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