第5章
宮崎梅之助という男は、何かに執着するときの行動力はいつも素早い。
私が家に帰ってからそれほど経たないうちに、ドアの呼び鈴が鳴った。
ドアを開けると、宮崎梅之助がそこに立っていた。
いつものスーツ姿ではなく、ただ濃い色のシャツを羽織っただけ。数筋の髪が額に散らかり、きちんと整えられていない。顔色は青白く、ひどく憔悴しきった様子で、目の下にははっきりとした隈ができていた。
数秒間、視線が交錯する。彼の後ろに光一がいて、そのズボンを固く握りしめているのに気がついた。
普段は威張り散らしているこの子が、今は奇妙なほど静かで、その瞳には恐る恐るといった様子の渇望が満ちていた。
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
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