第6章

 彼が私の前を歩いていたから、私の顔なんて見えていなかった。

 血に濡れた唇が、巨大で、ぞっとするほどの笑みに吊り上がっていることも。

『そうよ、ジュリアン』

『私を車に乗せて』

『暗い森の奥へ連れていって』

 彼は大金を盗めると思い込んでいた。

 自分が太古の捕食者たちの元へ、自分自身を運んでいるだなんて、夢にも思っていない。

 真実を知ったとき、『白馬の王子さま』がどんな顔をするのか――早く見たくてたまらなかった。

 ジュリアンのポルシェは砕けた砂利道の上で苦しげに跳ね、タイヤが泥に深く沈むたび、サスペンションがうめき声を上げた。

 錆びついたトレーラーや崩れ落ちた木造...

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