第7章

【健太視点】

 彼女は腕を振り払うと、後ずさりした。

「もう遅いわ、健太」

「いや……」彼の声はひび割れていた。

「遅くない……君さえ、その気になってくれれば――」

「遅いのよ。あなたが来るのが、遅すぎたの」

 健太の膝が、アスファルトに崩れ落ちた。

 息ができない。何も考えられない。人目もはばからず、彼の頬を涙が止めどなく伝い落ちていた。

「美咲とは縁を切る! 誓うよ! もう二度と彼女には会わない!」

 必死で、まとまりのない言葉が口からあふれ出す。

「公の場で謝罪する! 俺が間違っていたと、みんなの前で言うから!」

「君が望んでいた結婚式を挙げよう! 盛大なやつを!...

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