第6章

マイケル視点

 レミーの一件で心身ともに疲弊しきっていたにもかかわらず、マイケルは今日も定刻通りに出社した。彼はレミーの主のいないデスクを見つめた。彼女がマンハッタンにいると分かってはいても、心のどこかで、まだ彼女がドアを開けて入ってくるのではないかという幻想を捨てきれずにいた。

 だが、十分が経過しても、レミーは姿を現さなかった。

 レミーは本当に去ってしまったのだ。彼の最後の一縷の望みは打ち砕かれた。

 彼はパソコンに向き直り、スケジュールのフォルダを開いた。

 電話が鳴った。ウィリアムズ家との契約書に、今日中に署名が必要だという。

 マイケルはファイルキャビネットを乱暴に引...

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