決して叶わぬ結婚

決して叶わぬ結婚

大宮西幸 · 完結 · 21.3k 文字

923
トレンド
934
閲覧数
3
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

マイケルと付き合って五年、私は彼が無名からマフィアのボスへと這い上がる姿を支え続けてきた。

彼は約束してくれた。頂点に立ったら役所へ行って正式に結婚しようと。そして今日こそが、ついに婚姻届を出す日のはずだった。

彼はすでに初恋の女、イヴェイン・プライスのせいで八回も届け出を延期している。

これが九回目の試みで、十回目はない。

チャプター 1

 マイケルと付き合って五年。何者でもなかった彼が這い上がり、マフィアのボスへと上り詰めるまで、私はずっと彼のそばで支え続けてきた。

 トップに立ったら役所へ行って、正式に夫婦になろう。そう彼から約束されていて、今日こそが、その婚姻届を提出する日になるはずだった。

 これまでにも、彼は自分の初恋の相手、イヴェイン・プライスのせいで提出を八回も延期してきた。

 九回目の正直。十回目なんて、絶対にあり得ない。

……

 私は役所の記載台に座り、目の前にある婚姻届を見つめていた。私たちが籍を入れようと試みるのは、これで九回目だ。

 隣に座るマイケルは、スマホをスクロールしている。自分の記入欄は、すでに上の空で書き終えていた。

 私は日付の欄へとペンを滑らせた。手が震える。

 今度こそ大丈夫。だよね、マイケル?

 深呼吸をして、まさに日付を書き込もうとしたその時――ガラス扉が勢いよく開いた。

「マイケル!」

 イヴェインが目を真っ赤に腫らし、涙ぐみながらフロアを駆け抜けてきた。私には目もくれない。

「マイケル!」彼女の声はひび割れていた。「仕事ですごく大きなトラブルがあって……契約書の条件が全然分からないの。お願い、一緒に見て!」

 日付の欄の上で私のペンはピタリと止まり、ゆっくりと首を向けてマイケルを見た。

 彼はイヴェインを見つめ、私を見て、そしてまたイヴェインに視線を戻した。その額には、うっすらと汗がにじんでいる。

「イヴェイン、俺は今、ちょっと取り込み中で――」

「マイケル、今日の午後にはこの契約書にサインしなきゃいけないの!」イヴェインは彼の腕にすがりついた。「どうしたらいいか分からない。お願い。こんなの分かるの、あなたしかいないのよ」

 マイケルの表情が変わるのを、私はただ見つめていた。罪悪感と心配が入り混じった、あの見慣れた顔。

 まただ。

 一回目の記憶が脳裏をよぎる。役所の外に立っていた時、マイケルのスマホが鳴った。

「イヴェインが海外から帰国したんだ。空港まで迎えに行かないと」

 彼は私を階段に取り残し、角を曲がって消えていく彼の車を、私はただ見送った。

 二回目は、入り口のドアのところまで来ていた。マイケルのスマホが震え、メッセージを読んだ彼の顔から血の気が引いた。

「イヴェインが病院に運ばれた。アレルギー反応だって。ごめん、行かなきゃ」

 三回目。私たちは駐車場にいた。「イヴェインがバンジージャンプをするんだけど、怖がってるんだ。俺がいてやらないと」

 四回目。五回目。六回目。七回目。八回目。

 いつもイヴェイン。いつも緊急事態。いつも「次は絶対に籍を入れよう、約束する」。

 そして私は、そのたびに「分かった」と頷いてきた。

 だけど、これが九回目だ。

「レミー……」マイケルがすがるような目で私を見ていた。「俺は……」

 私はペンを置いた。不思議なほどの静けさが私を包み込んでいく。ふふっ、と笑いがこぼれた。

 マイケルが凍りつく。「レミー?」

「いいのよ」と私は言った。「仕事は大事だもの。行ってあげて」

 瞬く間に、マイケルの顔に安堵の色が広がった。彼は急いで立ち上がり、ジャケットを掴む。

「分かってくれてありがとう。次は絶対に来よう、誓うよ。次こそ絶対に籍を入れよう」

 前回も同じことを言っていた。その前も。さらにその前も。

 イヴェインと共に去っていく彼を見送る。突然、このフロアがやけに明るく、そしてうるさく感じられた。

 目の前にある婚姻届に視線を落とす。私はそれを真っ二つに引き裂いた。

 九回、私は待った。

 九回、彼は彼女を選んだ。

 引き裂かれた紙片を、記載台の脇にあるゴミ箱へと落とす。

 私は立ち上がり、一度も振り返ることなくその場を後にした。

 外は思いのほか冷え込んでいた。階段のそばにあるベンチに腰を下ろし、スマホを取り出す。

 メールの受信箱はパンパンだった。何十通もの未読メッセージ。そのすべてが、私が数ヶ月間無視し続けてきた仕事のオファーだ。画面をスクロールしていく。

 そして、それを見つけた。

「件名: シニア戦略企画ディレクター - コルレオーネ・グループ」

 私はその名前を、長い間じっと見つめた。

 コルレオーネ。

 三年前、サリヴァン家が港でコルレオーネの積荷を襲撃し、数千万円相当の物資を強奪した。その襲撃でコルレオーネのメンバーが一人命を落とし、三ヶ月にも及ぶ血みどろの抗争が引き起こされた。

 上層部がようやく停戦を仲介した際、サリヴァン家はマンハッタンから永久追放され、そこはコルレオーネの完全な縄張りとなった。

 マンハッタン。コルレオーネの領地の中心。マイケルのファミリーが、絶対に手を出せない唯一の場所。

 私の親指がキーボードの上を動いた。

「コルレオーネ様

 この度はオファーをいただき、誠にありがとうございます。

 謹んでお受けいたします。

 つきましては、勤務開始日についてご教示いただけますでしょうか。

 何卒よろしくお願い申し上げます。

 レミー・クーパー」

 送信ボタンの上で、指が宙に浮く。

 そして、私はボタンを押した。

 マイケル。私がマンハッタンに着いたら、私たちは終わりよ。

最新チャプター

おすすめ 😍

本物の令嬢は、もう誰にも媚びない ~裏切られた私の、二度目の人生

本物の令嬢は、もう誰にも媚びない ~裏切られた私の、二度目の人生

10.9k 閲覧数 · 連載中 · 神楽
前世の私は、有岡家で最も虐げられた「落ちこぼれお嬢様」だった。
執事の娘・西川安菜を哀れんで手を差し伸べた結果は、地獄。
兄たちの愛を奪われ、文字通り血を吸い尽くされ、体重は40キロを切った。
追い詰められた私は、絶望のまま窓から身を投げた。
死に際の一言は……「で? これから安菜の輸血はどうするの?」という皮肉。
……のはずだったのに。
目を覚ますと、私は三年前——安菜が泣きつかれてきた「あの日」に戻っていた。
可哀想なフリをする彼女を見つめ、私は笑った。
もう二度と、優しさなんて見せない。媚びもしない。
“親切”に立ち振る舞い、彼女を使用人部屋へ追いやって自立させてあげることにした。
彼女ばかり庇うお兄様たちの機嫌取りも、もう終わりだ。
かつて尽くしまくった元婚約者・石野星紀なんて、視界に入れる価値すらない。
勘違いしないで。
今の私は、ただの「有岡家のお嬢様」じゃないんだから——。
転生して、家族全員に跪いて懺悔させる

転生して、家族全員に跪いて懺悔させる

340.1k 閲覧数 · 連載中 · 青凪
婚約者が浮気していたなんて、しかもその相手が私の実の妹だったなんて!
婚約者にも妹にも裏切られた私。
さらに悲惨なことに、二人は私の手足を切り落とし、舌を抜き、目の前で体を重ね、そして私を残酷に殺したのです!
骨の髄まで憎い...
しかし幸いなことに、運命の糸が絡み合い、私は蘇ったのです!
二度目の人生、今度は自分のために生き、芸能界の女王になってみせる!
復讐を果たす!
かつて私をいじめ、傷つけた者たちには、十倍の報いを受けさせてやる...
不倫夫を捨てた夜、私は新しい彼に抱かれる

不倫夫を捨てた夜、私は新しい彼に抱かれる

3.5m 閲覧数 · 連載中 · 七海
初恋から結婚まで、片時も離れなかった私たち。
しかし結婚7年目、夫は秘書との不倫に溺れた。

私の誕生日に愛人と旅行に行き、結婚記念日にはあろうことか、私たちの寝室で彼女を抱いた夫。
心が壊れた私は、彼を騙して離婚届にサインをさせた。

「どうせ俺から離れられないだろう」
そう高をくくっていた夫の顔に、受理された離婚届を叩きつける。

「今この瞬間から、私の人生から消え失せて!」

初めて焦燥に駆られ、すがりついてくる夫。
その夜、鳴り止まない私のスマホに出たのは、新しい恋人の彼だった。

「知らないのか?」
受話器の向こうで、彼は低く笑った。
「良き元カレというのは、死人のように静かなものだよ?」

「彼女を出せ!」と激昂する元夫に、彼は冷たく言い放つ。

「それは無理だね」
私の寝顔に優しくキスを落としながら、彼は勝ち誇ったように告げた。
「彼女はクタクタになって、さっき眠ってしまったから」
極品の入り婿

極品の入り婿

2k 閲覧数 · 連載中 · 佐藤製作所
彼が財産を相続して戻ってきた時、かつて彼を見下していた人々は彼の前にひざまずくしかなかった。
溺愛令嬢の正体は、まさかの霊能界トップ!?

溺愛令嬢の正体は、まさかの霊能界トップ!?

321.9k 閲覧数 · 連載中 · 朝霧祈
原口家に取り違えられた本物のお嬢様・原田麻友は、ようやく本家の原田家に戻された。
──が、彼女は社交界に背を向け、「配信者」として自由気ままに活動を始める。
江城市の上流社会はこぞって彼女の失敗を待ち構えていた。
だが、待てど暮らせど笑い話は聞こえてこない。
代わりに、次々と大物たちが彼女の配信に押しかけてくるのだった。
「マスター、俺の命を救ってくれ!」──某財閥の若社長
「マスター、厄介な女運を断ち切って!」──人気俳優
「マスター、研究所の風水を見てほしい!」──天才科学者
そして、ひときわ怪しい声が囁く。
「……まゆ、俺の嫁だろ? ギュってさせろ。」
視聴者たち:「なんであの人だけ扱いが違うの!?」
原田麻友:「……私も知りたいわ。」
トップ暗殺者、学園に転生する

トップ暗殺者、学園に転生する

7.8k 閲覧数 · 連載中 · ミサキ
太平洋の孤島に響き渡る爆発音の中、私は敵と刺し違えることで、すべてに終止符を打った。
そして、目が覚めた。

16歳。肥満体型。顔中に広がったニキビ。冷え切った体育倉庫の片隅で、私は丸まっていた。
周囲から16年間ずっと忌み嫌われてきたこの肉体の中で、私はわずか3秒で状況を理解した――。

「死体への憑依、つまり――転生だ」

元の肉体の持ち主は、誰もが容赦なく踏みにじる、お人好しの「いじめられっ子」だった。
継母は慢性的な毒物で彼女の身体を破壊し、実の妹は彼女を裏切って罠に嵌め、クラスメイトは彼女を暗闇に閉じ込めて冷水を浴びせ、教師さえも一緒になって彼女を踏みつけにする。

だが、あいにく。
今この身体の中にいるのは、暗殺組織のトップだ。
地獄の底から這い上がってきた、一人の女だ。

私はまず、元の持ち主が昨夜味わった屈辱のツケをきっちりと払わせ、皮膚に残る毒素を洗い流した。
物理のテストでは満点をもぎ取り、超一流の弁護士を1分1秒の狂いもなく現場へ急行させて私の弁護に当たらせ、果ては市長自らに我が家の門を叩かせ、私の後ろ盾にならせた。

今世において、私に借りのある全ての奴らから、一筆一筆、その代償を血で購わせてやる。
マフィア姫の帰還

マフィア姫の帰還

56.4k 閲覧数 · 完結 · Tonje Unosen
タリアは何年ものあいだ、母と義理の妹、そして継父と暮らしてきた。だがある日、ついにそこから逃げ出すことに成功する。

ところがその直後、自分にはまだ外に家族がいるのだと知る。そして本当に自分を愛してくれる人たちが大勢いることも――そんなものは今まで感じたことがなかった。少なくとも、彼女の記憶にあるかぎりでは。

タリアは人を信じることを学ばなければならない。新しくできた兄たちにも、ありのままの自分を受け入れてもらわなければならないのだ。
隠された天才:裏の顔が多すぎて、気づけば世界のトップを震撼させていた件

隠された天才:裏の顔が多すぎて、気づけば世界のトップを震撼させていた件

30.7k 閲覧数 · 連載中 · たけの
私の名前は江川莉奈。

育ての親の一家に家を追い出されたあの日、私は微笑みを浮かべながら、奴らが施しとしてよこした金をゴミ箱へと投げ捨てた。

誰も想像すらできないだろう。この私が、数々の名門貴族や権力者たちが大金を積んで列をなし、首を長くして診察を待つ伝説の名医——【暁】だなんて。

私が時価総額数十億ドルのファッション帝国を裏で支配していることも、ウォール街の株価をたった一回の取引で大暴落させられることも、誰も知らない。私はその正体を、この平凡で冴えない素顔の裏にすべて隠し持っていた。

さらに劇的なことに、私の実の親はこの街で頂点に君臨する最高峰の大富豪だった。

そして私の婚約者——すでに顔を合わせているにもかかわらず、その正体を知らなかったあの男こそ、この街の誰もが名前を聞くだけで震え上がる、ビジネス界の冷酷な死神:梅原晴琉だったのだ。

ある日、彼は私の手を執り、ゆっくりと距離を詰めると、耳元で低く囁いた。

「俺のこの鼓動、今なら感じられるか?」

私は至って真面目な顔で彼の胸に手を当て、大真面目にこう返した。

「心拍数は確かに少し高めですが、非常に健康的です。心配ありませんよ」

彼は一瞬呆気にとられ、それからふっと吹き出した。その瞬間の彼の笑顔に、私の心臓もなぜかドクンと跳ねた。それは、自分自身でも説明のつかない初めての衝動だった。

だが、彼が私の真実に一歩ずつ近づくにつれ……私の心は揺らぎ始めている。自分の最後の秘密を、あとどれくらい隠し通せるのだろうか。

外されるはずのなかった仮面——。だが、あの人が執拗にその霧を剥ぎ取ろうとするとき、私は一体どこへ向かえばいいのだろう?
今さら跪く元夫を置き去りに、大富豪の甘い執着愛が始まりました

今さら跪く元夫を置き去りに、大富豪の甘い執着愛が始まりました

10.9k 閲覧数 · 連載中 · 桜井 ゆい​
夫は私を、別の男のベッドへ差し出した。
あの男にとって、私は自分の出世や欲望のために利用する「モノ」でしかなかったのだ。

だが、あの男は夢にも思っていなかった。
自分がゴミのように投げ捨てた贈り物が、この国で最も恐れられ、最も力を持つ男の「かけがえのない愛する人」になるなんて。

やがて絶望を知り、私の前に跪いて許しを乞う元夫。
その惨めな姿を見下ろす私を、最高峰の男が背後から抱き寄せ、耳元で低く甘く唸った。

「俺の子供を身ごもっておきながら、一体どこへ行こうというんだ?」

――捨てられた妻の反撃と、逃げられない絶対的な愛が、ここから始まる。
追放された偽令嬢、実は超財閥の真の令嬢

追放された偽令嬢、実は超財閥の真の令嬢

148.1k 閲覧数 · 連載中 · あざ鳥
「お前みたいな偽物の令嬢、さっさと山奥に帰れ!」

孤児だと判明した途端、彼女は養父母から冷酷に家を追い出され、婚約者も本物の令嬢へと乗り換えた。
彼らは、彼女がこれからド田舎で悲惨な生活を送るのだとあざ笑っていた。

しかし、彼女を迎えに来た実の家族は、なんと世界を牛耳る超巨大財閥の一族だった!
さらに、彼女自身もただの小娘ではない。その正体は、世界の医学界が平伏す伝説の天才医師だったのだ。

実家に戻るや否や、彼女は神業のようなメス捌きで次々と難病患者を救い、医療界の権威たちを圧倒していく。その圧倒的な実力に、誰もが恐れる冷酷なトップ御曹司でさえも彼女に惹かれ、無限額のブラックカードを差し出す始末。

一方、彼女を追い出した養父母の家業は倒産寸前に陥り、元婚約者も彼女の本当の姿を知って絶望の淵に立たされていた。
彼らが泣きついて許しを乞うても、彼女は冷たく言い放つ。

「今さら後悔しても、もう遅いわ」
終末世界で異空間チート!無限備蓄で兵王様を攻略します

終末世界で異空間チート!無限備蓄で兵王様を攻略します

25.8k 閲覧数 · 連載中 · 夜明けのソラ
渡辺千咲は大学卒業後、人生のどん底に落ち、みじめな思いで故郷に戻った。ところが、幼い頃に覚醒した役立たずの空間が突然見知らぬ男に結び付けられた。

男の方は食料不足、渡辺千咲の方は金欠で、二人は意気投合して互いに協力することになった。

「俺のいる場所では、金やダイヤモンドが地面に落ちていても誰も拾わない」

渡辺千咲はそれを聞いて目を輝かせた。男のいる時空では終末が訪れ、動植物が変異し、土地は耕作不能、水源は汚染され、さらに人類の安全を脅かすゾンビがいるのだった。

中島暁は終末世界で一年間苦しみながらも生き抜き、弾薬も食料も尽きて重傷を負いながらも、最後まで信念を貫き、仲間を見捨てることを拒んだ。

「唐揚げ、肉まん、きれいな水、あなたが欲しい物資なら何でも調達してやる!」

渡辺千咲はもはやみじめではなくなった。クリスタルのエネルギーで肌が白くなり体質が改善され、眼鏡も外せるようになり、金や骨董品が手に入り続けた。

中島暁が終末世界から持ち込んだ書籍、詞曲、漫画……によって、渡辺千咲は一躍文学芸術の大家となった。

祖母や、偽善的で貪欲な親戚たちが泣きながら彼女に許しを求めた。

数年後、記者が渡辺千咲の願いを尋ねた――

「世界平和を願っています」

大げさだと思う人もいたが、後になって戦乱を平定したのも彼女、経済を発展させたのも彼女、薬剤を発明したのも彼女の部下のチーム、ウイルス爆発を救ったのも彼女だったことが分かった。

終末世界で彼女は最後の人類を率い、ゾンビに勝利し、赤い月の終末災害を乗り越えた。

彼女の願いは実現したのだった。
不倫夫を捨て、私は大富豪の妻になる

不倫夫を捨て、私は大富豪の妻になる

357.6k 閲覧数 · 連載中 · 七海
人生最良の日になるはずだった、結婚式当日。
新郎の車から出てきたのは、見知らぬ女の派手なレースの下着だった。

しかも、その布切れにはまだ。生々しい情事の痕跡が残されていた。

吐き気がするほどの裏切り。
幸せの絶頂から地獄へと突き落とされた私。

けれど、泣き寝入りなんてしてやらない。
私はその場でウェディングドレスの裾を翻し、決意した。

「こんな汚らわしい男は捨ててやる」

私が選んだ次の相手は、彼など足元にも及ばない世界的な億万長者で?