第5章

 父は昔から私のことが嫌いだった。

 その事実に気づいたのは五歳の時だ。母がまだ存命だった頃、父が執事にこう漏らすのを偶然聞いてしまったのだ。

「なぜ、女など生まれてきたんだ」

 私が七歳になった年の冬、母は土に還った。

 黒いワンピース姿で墓地に立つ私の髪を、冷たい雨が濡らしていく。

 私はずっと父を見上げていた。その手を握りたくて、ほんの一瞥だけでも欲しくて。

 だが、父は最後まで私と目を合わせることも、一滴の涙を流すこともなかった。

 それからの数年間、私は父の関心を惹くためにあらゆる手を尽くした。武器の訓練ではすべて満点を取った。

 それでも駄目なら、今度は反抗的な態...

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