第7章 鵲の巣を奪う鳩

 水谷知夏が去ってから最初の一週間、津川陸の生活は崩壊の一途をたどっていた。

 林夜美は念願叶って女主人の座に収まった。彼女は待ちきれない様子でドレッサーを自分の化粧品で埋め尽くし、知夏の物は全て物置に放り込んだ。

 だがすぐに、津川陸は異変に気づいた。

 早朝の日差しが薄いカーテンを透かして射し込み、目が開けられないほど眩しい。ベッドから起き出しても、クローゼットにはアイロンの掛かったシャツが用意されていない。あるのは、椅子の上に丸まった皺だらけの布切れだけだ。

「夜美、俺のシャツは?」

 彼は苛立ちを隠さずに尋ねた。

「シャツ? 椅子の上にあるじゃない」

 林夜美は化粧の手...

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