第6章

 車は車寄せに停まったままだった。エンジンは切られている。静寂。

 私の手は、まだドアのハンドルにかかっていた。身動き一つできなかった。

「瑠衣」彼の声は静かだった。「断ってもいいんだぞ」

 私は振り返って彼を見た。身を乗り出してくるわけでもなく、強引に迫るわけでもない。ただ、待っていた。

 そのとき気づいた――彼は私に選択権を委ねていて、私はとっくに答えを出していたのだと。

 私はドアハンドルから手を離した。

 彼の手が私のうなじへと滑り込み、センターコンソール越しに私を引き寄せた。今回のキスは、さっき車の中で交わしたものとは違っていた。もっとゆっくりで、もっと深い。まるで、互...

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