第7章

 この二ヶ月間、私は自分自身を二つに引き裂いたまま生きていた。

 昼間は東都大学の学生、水野瑠衣として。そして夜は、まったくの別人――彼からのメッセージが届いた瞬間に、すべてを放り出して駆けつけるような女として。

 母は青葉台の家に移り住んでいた。廊下には、まるで彼女が一度もそこを離れていないかのように、その香水の匂いが染みついていた。私は隣の部屋にいて、壁越しに隆一郎が母へ「おやすみ」と告げる声を聞いていた。そして暗闇に横たわりながら、今夜こそあの人は来ないのだと、自分自身に言い聞かせていた。

 だが、彼は必ずやって来た。

 午前二時。午前五時。キッチンのアイランドカウンター。書斎...

ログインして続きを読む