第7章

陣痛の波が、容赦なく腹の底から突き上げてくる。

静まり返ったアパートの床に座り込み、私は孝介くんが残した一枚の紙を握りしめていた。必死に指でなぞってみても、そこに綴られたインクの染みは、解読不能な暗号のように冷たいだけだった。

「どうして……?」

誰もいない空間へ、声が虚しく吸い込まれていく。

「どうして、私を一人にしたの……?」

返ってきたのは、壁に跳ね返った自分の嗚咽だけだった。

次の激痛で床に崩れ落ちそうになるのを必死でこらえ、震える指で一一九番を押す。やがて、夜の静寂を切り裂いて救急車のサイレンが近づいてきた。担架に乗せられながらも、私は何度も振り返った。今にも...

ログインして続きを読む