第7章 潮汐表の秘密
潮騒が、夢の底から響いてくる。
夏川圭一は、妻の紬が昏い海の中に立っているのを見た。彼女の声は風に千切れ、途切れ途切れにしか届かない。
『圭一……助けて……子供が……』
必死に紬の方へ泳ごうとするが、海水が鉛のように四肢にまとわりつく。紬の姿はみるみるうちに遠ざかり、差し伸べられた手は月光の下で病的なほど青白く、絶望に染まっていた。
「紬!」
圭一はソファから跳ね起きた。額には冷や汗が滲み、胸に抱いていた写真立てが涙で濡れている。
無理やり荒い息を整える。これ以上、悲嘆に暮れているわけにはいかない。紬はもういない。だが、彼女が遺した手掛かりはまだ残っている。
紬...
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チャプター
1. 第1章 台風前夜
2. 第2章 消えた潮騒
3. 第3章 波の証言
4. 第4章 スパイ
5. 第5章 嵐が来る前

6. 第6章 記憶の約束

7. 第7章 潮汐表の秘密

8. 第8章 仮面の下の真実

9. 第9章 夜の嵐

10. 第10章 嵐が来る

11. 第11章 嵐の中の対決

12. 第12章 嵐の後


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