第100章

「エス……テル?」少年が身じろぎした。だが、ほどけない。

彼は顔を少女のほうへ向ける。空は、彼にとって相変わらず暗いままだった。

黒々とした夜だけがある。

「……ああ、ごめんなさい。ボルト……じゃない、邪教徒さま。動かないでくださいね。この縄には韋丹草の汁が染み込ませてあるの。もがけばもがくほど、きゅうっと締まる。黙法もだめよ。あなたには使えない……わたしが何をしてるか、わかる? 大切なグラントさんの髪を切ってあげてるの。わたし、手先は器用なのよ。グラントさん、嬉しくて泣いちゃいそうね……」

サリーナ王女はすっかり遊びに夢中になったのか、匕首を放り投げた。刃はエポスの手の中へ転がり込...

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