第13章 聖霊体

競馬場脇の広場へ戻ると、セシリーはもう目を覚ましていた。

ジェシカがこちらへ手を振り、前方にできた列を指さす。小沢かなは小さくうなずき、無事だと伝えると、鳥かごを提げたまま人だかりの端へ寄った。

「名前」

「セシリー・ウィギンズ」

セシリーはソロン学院の生徒ではない。貴族でもない。けれど今日だけは、レイン公爵の名を借りて――本来なら自分一人では並ぶことすら叶わない列に、ようやく立てた。

小沢かなは彼女を見た。

神使の前に立つための切符は、いまや行方も知れない男がくれたもの。だが、この先に残れるかどうかは、セシリー自身の手にかかっている。

痩せた少女が水晶球へ手を置く。

ぱあっ...

ログインして続きを読む