第38章

ニール王子が、もう一度――こんこん、と扉を叩いた。

内側で、気配が動く。

甘く柔らかな少女の声。まるで恋人にじゃれるみたいな調子に、ときおり混じる澄んだ男の声。その取り合わせが、扉越しに漏れてきた。

ニール王子は、ほとんど反射で相手の姿を思い描いてしまう。

あの「語りかけてくる」ような瞳で、妖精めいた少年を見上げるのだろう。肩を寄せ、敬虔に、熱っぽく、恋しさを囁き――

「ニール王子、もう一回叩いて」

背後の人物が、咳払いひとつで急かした。

ニール王子は言われるまま、二度叩く。

次の瞬間、固く閉ざされていた扉が「きい」と音を立てて開いた。

扉口に立っていたのは、青白く倦んだ顔...

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