第58章

彼女は驚いたように跳ね起きた。まずい。羊になったせいで、感覚まで鈍ってる。

跳ねた拍子に、ようやく身体の異変に気づく。

お腹が、ずしりと重い。やばい、これって……。

彼女は慌てて布団を蹴ってもぞもぞと這い出し、うつむいて確認して――すぐさま布団へ引き返した。頭だけを出し、上に向かって必死に叫ぶ。

「メェメェメェ!」

くそ、トイレ……!

そのとき、洗面室の扉が開いた。ニール王子がベルトを締めながら、やけに爽やかな顔で出てくる。

「ボルトさん、その羊はどうした? 具合でも悪いのか?」

小沢かなは目の前がふっと暗くなった。視界が、何かに遮られる。

「たぶん腹が減ったんだろう」

...

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