第61章

「……報酬?」

「レイン様。あの三杯の血以外、あなたに借りがある覚えはありません。それどころか――賭け金、まだ払ってませんよね」

小沢かなはにこにこ笑いながらも、身体はきのこ小屋のほうへじり、と退いた。

自分が羊に変わったことは極めて内密だ。自分とノア以外、知るはずがない。

なのにレインは知っている。

まさか、ずっと尾けていた?

けれど彼は図書館の三階には上がれないはず――。

「おお、グラントさん。そんな他人行儀は傷つきますよ。なにせ我々はこの世で最も息の合う相棒――」

「――申し訳ありませんが、レイン様。私たち、親しくありません」小沢かなは言葉を遮った。「賭け金を払いに来た...

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