第81章

子羊が勢いよく巣穴へ突っ込むと、少年は案の定、ためらいもなく後を追った。

「……はぁ。あの二人……片方は狂人、片方は阿呆か」

黒い霧がもぞりと蠢き、やがて黒髪黒眼の青年へと凝り固まる。

青年は目を細め、巣穴の周囲をぐるりと見回した。

「まだ戻ってないのか? 運がいい……偉大なるレイン十世が先に上を見てくる。降りてきた時、可愛いグラントさんと偉大なるボルトさんが生きてるといいがな……」

レインは再び黒霧となって霧散した。

洞穴の中の子羊は、呆然と巣穴を見つめる。自分の運を信じられない、とでも言うように。

巣は――空だった。

これ以上、最悪なことがあるだろうか。

「エステル」

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