第97章

ときどき、小沢かなは思うのだ。自分には、殉教者めいた勇気があるのだと。

過去が刻んだ烙印は、どれもこれも、しぶとく彼女の身体に根を張っている。

踏みつけられるだけの雑草として生きるのには慣れすぎた。だからもう、地べたに這うような場所では育ちたくない。もがいて、もがいて、上へ。もっと高いところへ。誰にも見下されず、誰にも踏み荒らされない高さへ――。

けれど、たまに。今みたいに、胸の奥にひとかけらの臆病が芽を出すこともある。

……続けるの?

あんな高みにいる、ほとんど越えられない存在を前にして。自分の愚弄も欺きもすべて暴かれたとき、待っているのはどれほどの怒りだろう。

裏切り。

最...

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