第99章

「待って……まだ、押さないで」

小沢かなが目を開けたのは、骨の芯まで突き刺さるような激痛のただ中だった。

正直に言えば、前に腕を失ったときは、ここまで痛くなかった。痛みを感じた頃には、もう腕はそこになかったからだ。

そのとき彼女の思考を占めていたのも、痛みではない。寒さだった。

雪の冷たさ。血の冷たさ。

まるで氷雪の世界に放り込まれたみたいに、内側から外側まで、すっかり凍えきっていた。

けれど今は違う。これは、確かな痛みだ。

縄が肉に食い込んでいる。縛った相手が一切手加減していないのは一目でわかった。もがいてみても、小指一本動かせない。身体は屈辱的な形に折り曲げられ、残った左腕...

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