第10章 後で地獄を見るタイプ

「田村先生、本日の診察はここまでで」

池田守は空気の変化を察し、手早く会診を切り上げた。

会診が終わった途端、書斎はしんと静まり返る。聞こえるのは、機器の微かな駆動音だけ。

「池田守。学校へ行って、水島三久の外泊許可を取れ。今後、彼女は天野家の旧宅に住む」

天野真司はしばらく考え込み、ゆっくりと言った。

その決定に、池田守の目がぱっと輝く。

「若様、それって……若奥様に本気になったってことですか?」

水島三久を、本当の天野奥さんにするつもりなのか――。

池田守の弾んだ声が耳に障り、天野真司は苛立ち混じりに眉骨を押さえた。

昨夜、水島三久が隣で眠っていた間。

脳裏の断片が、...

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