第102章 これに頼るしかない

市川悠介も、さっき自分が振った話題がどれだけ滑っていたかはさすがに理解していた。水島三久との距離を縮めるどころか、皆の意識を練習生たちへ向けさせただけだ。

小川文美が相変わらず褒めちぎっているのを聞きながら、市川悠介は諦めたように彼女へオレンジジュースを注ぎ、手渡した。

「ほら。エビ剥くの大変だろ。俺がやるよ」

「わぁ……ありがとうございます! やっぱり先輩みたいに気が利く男の人って、なかなかいないですよね。私も三久も、運が良すぎます!」

「……」

水島三久は、その褒め殺しに本気で降参したくなった。

けれど、文美が勝手に場を回してくれたおかげで、肩の力が抜けたのも事実だ。

三久...

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