第116章 私は同意しない

ほとんどの客が、声のしたほうへ視線を向けた。

もちろん、水島三久と小川文美もだ。

さっきまで頬を染めていた女が、いきなり天野拓也の腕をがしっと掴む。

「ダメ! 帰らないで! 私、あなたに彼氏になってほしいの!」

勢いがありすぎて、テーブルの冷水ボトルが床に落ち、ガシャンと音を立てて転がった。

静かだった店内は、甲高い声ひとつで一気にざわつく。

周りの視線が、二人に突き刺さった。

天野拓也は眉をわずかに寄せたものの、声はまだ柔らかい。

「内田さん。さっきも申し上げましたが、俺たちは合わないと思います。それに、今日はお見合いです。ですから……手を離してください」

「離さない! ...

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