第123章 人間そのものがダメ

天野真司は淡い眼差しを伏せ、椅子から立ち上がると、そのまま食卓を離れようとした。

「帰ったら三久をちゃんとなだめろ。そうしないと、あとで泣きを見るぞ!」

天野の大旦那様の言葉に、真司の足が一瞬だけ止まる。黒い瞳がかすかに瞬き、振り返りもせずに言い捨てた。

「会社で緊急の案件がある。今夜は戻らない」

言い終えるや否や、真司は大股で食堂を出ていった。

「このバカ者――」

大旦那様は、真司の鈍さに本気で血圧が上がりそうな顔になる。

「じいちゃん、じいちゃん、落ち着いて! 兄貴の会社、ほんと忙しいんだって!」

天野遊星が慌てて隣へ寄り、必死に取りなす。

「最近、叔父さんも入院してる...

ログインして続きを読む