第137章 でたらめを言えるようになった

「俺たち、確かに行ってない」天野真司は眉間をわずかに寄せた。「今回は急だった。俺が決めたことで、三久は――」

関係ない。

その続きを口にする前に、受話器の向こうから天野おじい様の弾んだ声が飛んできた。

「よし! やっぱり三久はうちの福の神だな! この前、景が『あの子は生まれつき運がいい』なんて言ってたが、半信半疑だったんだ。まさか本当だったとは!」

「……」

真司の弁解は、行き場を失って喉の奥に引っかかったまま消えた。

天野景が祖父を丸め込むために並べた言葉が、まさかこんな形で効いてくるとは。

祖父がそう信じるなら、それでいい。少なくとも、水島三久にとって悪い話にはならない。

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