第181章 小悪魔・水島三久

「靴は?」

藤井愛奈が訝しげに眉をつり上げ、きょろきょろと周りを見回す。けれど水島三久の靴はどこにも見当たらない。

――まさか、裸足で走ってきた?

この子の勢いなら、あり得なくもない。

水島三久はフォークでケーキをぷすりと刺し、小さな口に放り込むと、何でもないふうを装って答えた。

「さっき天野さんが抱っこして連れてきてくれたから、履いてないの」

それを聞いた瞬間、藤井愛奈の顔色がすっと陰る。だが怒りを押し殺し、無理やり笑みを作って尋ねた。

「……じゃあ、あとでどうやって戻るの?」

できる限り、優しそうに見えるように。

けれど水島三久の次のひと言で、仮面はあっさりひび割れた。...

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