第183章 勝てるわけがない

「――えっ、うそ……!」

ほとんど同時に、水島三久の耳へ、店員のわざとらしい驚嘆が飛び込んできた。

その程度の芝居で、よくもまあ人前に出せるものだ。

三久は手にしていた翡翠のブレスレットをちらりと見て、何気なくカウンターへ置いた。

何も言わない。ただ、割れている片方をつまみ上げ、じっと観察する。

それを見た店員が、畳みかけるように言った。

「こちら、当店でも特に高額なお品でして。1点で70万なんです。破損となりますと、全額ご負担いただく決まりで……!」

藤井愛奈は目の奥の得意げな光を押し込み、心配するふりで三久の肩に手を置く。

「三久、怖がらなくていいよ。70万くらい、私が払...

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