第187章 あの日、送ってきた男

三十分ほどして、天野家の一行は藤井家が晩餐会を開くホテルに到着した。

すでにロビーには招待客が集まり始めていて、天野おじい様が姿を見せるや否や、藤井おじい様が満面の笑みで歩み寄り、矢継ぎ早に世間話を始める。

話しながらも、視線だけで孫娘の藤井愛奈に合図した。

――天野真司のところへ行け、と。

愛奈がそんな好機を逃すはずがない。近くのテーブルからワイングラスを二つ取り、片方を真司へ差し出す。

「これ、祖父のセラーに眠ってたいいお酒なんです。私でもそうそう飲めないんですよ。天野さんも、少しどうです?」

藤井おじい様と天野おじい様、二人の長老がいる手前、真司も露骨に断れない。受け取って...

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