第197章 仕事熱心な水島三久

天野真司は彼女の顔を見つめたまま、ふと意識が遠のいた。

手にしていたハンカチが、するりと指先から滑り落ちる。はっと我に返って拾おうとした瞬間――落ちた先が悪かった。

水島三久の胸元、その谷間の隙間に、ちょうど収まってしまっていたのだ。

……これ、どうやって取れっていうんだ。

天野真司は見なかったことにして、鼻梁の銀縁メガネを指で押し上げる。

水島三久は彼の妙な表情と、胸元に落ちたハンカチを見比べて、危うく吹き出しそうになった。

彼女はひょいとハンカチを取り、わざと天野真司のほうへ身を寄せる。

「天野さん……」

天野真司が反射的に振り向いた、その瞬間。

唇が、彼女の頬をかすめ...

ログインして続きを読む