第203章 遠慮なんて要る?

「契約の――」

「え? これ、前のオークションに出てたネックレスじゃない。天野さん、いつの間に買ったの?」

水島三久がふいに天野真司のデスクの上に置かれた「心の箱」に気づき、ぱっと眉尻を上げた。真司が言いかけた言葉など、すっかり耳に入っていない。

天野真司は一瞬きょとんとしてから、机上のネックレスへ視線を落とし、眉を寄せた。

――これを身につけずに、箱だけ開ける方法。

それをずっと考えてきた。何人にも当たったが、誰ひとり解けない。だから仕方なく、オフィスに置きっぱなしにしていたのだ。

三久が興味深そうに見つめているのを見て、真司は口角をわずかに上げる。

「前に一度、池田にオーク...

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