第217章 命を奪いに来た者

天野真司は、不意打ちのように霧を吹きかけられた。

息を止めた。だが、それでもかなり吸い込んでしまったらしい。

よろめきながら壁に背を預けると、視界の人影がふわり、ふわりと揺れて滲む。

「やっぱりね。今回うまくまとまらないかもしれないとは思ってた。でも……天野社長が、こんなに私の心を傷つけるなんて……」

赤崎小夜がそう囁き、距離を詰めてくる。

近づかれた瞬間、天野真司は反射的に後ずさった。足元が定まらず、そのままよろめいてソファへ倒れ込む。

同時に、テーブルの上に立てかけてあったビデオ通話中のスマホを肘で弾き飛ばしてしまった。

「天野さん?!」

画面の向こうの水島三久が、雑音に...

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