第219章 お願い

池田守正が頭痛に眉を寄せた、そのときだった。ポケットの中で携帯がぶるぶると震える。

反射的に通話を取る。聞こえてきた内容に、眉間の皺がさらに深くなった。

天野真司は眉をわずかに上げ、言葉の続きを待つ。

案の定、池田守は通話を切って間もなく、諦めたように息を吐いた。

「赤崎小夜の父親です。赤崎宏一。今、フロントに来ていて……若様にお目にかかりたいと」

聞くまでもない。各所の不動産が更地になった件だろう。

『J』組織の女が勝手に暴れ回るのはまだしも、天野家の頭に降りかかってくるとなれば、厄介にもほどがある。

池田守の胸中など、真司には手に取るように分かる。彼は眉間を指で軽く押さえ、...

ログインして続きを読む