第220章 苦し紛れの言い訳

夢だとわかっている。だからこそ、一度だけ――自分を甘やかしてやりたかった。

たった一度でいい。

彼女の柔らかな唇が首筋に触れた瞬間、天野真司はもう堪えきれなかった。大きな手で腰をがっちりと抱え込み、乱暴なくらいに唇を奪い返す。

懐かしい匂いが鼻先をくすぐり、全身がきゅっと張り詰めた。

もっと欲しい。彼女の全部が欲しい。

彼女は彼のシャツを身にまとっている。留まっているボタンは上下合わせて三つほど――なのに外すのがやけに難しい。

苛立ちが先に立ち、力任せにぐいっと引いた。もともと限界だったボタンが、ぱちぱちっと弾け飛ぶ。

「焦らないで」

水島三久が、ふいに天野真司をそっと押し返...

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