第238章 俺は、すごく好きだ

彼の声は低く落ちているのに、どこか人を惑わせる甘さが混じっていた。

水島三久は、天野真司に魅力があることを否定したことがない。

――気のせいだろうか。

彼は噂で聞くほど「近寄りがたい高嶺の花」でも、「冷たい人」でもない。むしろ……距離の詰め方が上手いというか、さらっと煽ってくるというか。色っぽい、というか。

酔ったあの日、彼にそそのかされてやらされたことがふいに蘇り、三久は耳のあたりまで熱くなる。

酔ってる天野さんと、酔ってない天野さんで、顔が二つあるなんて――誰が想像するの。

「……どくん、どくん」

静かな部屋なのに、自分の心臓の音がやけに大きく聞こえた。

三久はまぶたを持...

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