第239章 寝なくてもいい

水島三久は本能的に首をすくめた。小さな顔が一瞬で真っ赤に染まる。

――夜、寝なくても……別に、いいよね。

ぱちり、と瞬きをして。胸の奥に、ほんのわずかな期待が芽を出すのを自覚してしまう。

けれど近づいてきた気配は、彼女の額にそっと口づけを落としただけだった。

そしてそのまま、優しく抱きしめ直される。

「……」

……うん、落ち着け。焦らない。ゆっくり、ゆっくり。

◇

宝飾品の発表会当日。

空は抜けるように晴れ、屋外はうだるほど暑い。なのに会場内は、はっきりと肌寒かった。

マリア王女の要望で、通常より室温を3度ほど下げているらしい。

スーツ姿の男たちは平気でも、ドレスで参加...

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