第24章 十分に取ったか?

池田守は眉をきゅっと寄せ、天野真司を見やった。眉尻にも目元にも、疑念が滲んでいる。

内田史人みたいな、利がなきゃ動かない男が――「衝撃を受けた」程度で、そう簡単に手を引くはずがない。

むしろ、倍にしてやり返してこないだけでも妙だ……。

天野真司の目は相変わらず冷静だったが、池田守へ向ける視線にだけ、わずかな危うさが混じった。

「……また、隙を見て仕掛けてくる気か?」

「いえ」池田守は首を振る。「昨日、シーズンバーで双方が派手にやり合った件も、まるで何事もなかったみたいに静かで……だから余計に気味が悪いんです」

「……」

天野真司はふっと瞼を持ち上げた。刹那、眼差しが底なしに深く...

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