第235章 食欲がないのか、それとも気分が悪いのか?

「家に戻ったばかりでね。これからうちの奥さんに付き合うんだ」

「……」

奥さんに付き合う。

つまり、J様ってことか?

だめだ。こいつがこのあと付いてきたら、命がいくつあっても足りない。

フィリスは頭痛をこらえるように眉を寄せ、それでも名残惜しそうに天野真司を数秒見つめてから、ふう、と息を吐いた。

「……まあいい。天野社長は奥さんが最優先だろう。改めて、また話せばいい」

「そうだな」

フィリスがこんなにあっさり引くとは、天野真司も少し意外だった。だが、ああいう手合いとは距離を置けるに越したことはない。

フィリスが去るのを見届けると、天野真司は天野おじい様に手短に報告し、書斎へ...

ログインして続きを読む