第51章 好きにさせるわけがない

「え……」

水島三久は小川文美の様子に、思わず笑ってしまいそうになった。けれど、このドレスが届いたタイミングだけは――確かに、出来すぎるほどちょうどいい。

今夜は藤井愛奈の帰国パーティー。ドレスが必要で、そしてそのドレスが、まるで待っていたかのように現れた。

届けた人間は、ずいぶん気が利くじゃない。

三久は視線をドレスの上で一度滑らせたあと、ふっと眉を寄せた。指先で襟元の裏側をつまみ、くるりと返す。

……やっぱり。

最初は池田守が用意してくれたのだと思った。以前、天野拓也が「サイズを池田に伝えておけ」と言っていたし、三久は伝えていないとはいえ、見た目でだいたいのサイズくらいは読め...

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