第54章 義姉さんまた酒を飲んだ

藤井愛奈はわずかに顎を上げ、どこか得意げに水島三久を見下ろした。

見識も学も、持っているものも――自分のほうがずっと上。

なのに、何を張り合うつもり?

藤井愛奈の「気遣い」に見える一言は、ただ二人の差を突きつけるためのものだった。

ところが水島三久は、ふっと笑っただけだった。

「ありがとうございます、藤井さん。私、Y国は行ったことないし、メニューの名前も読めないんです。でも……私には私のやり方がありますから」

そう言いながら小さな手で天野真司の服の裾をくいっと引き、手元のメニューをすっと差し出す。

「天野さん、お願い。注文、手伝ってください。甘めのがいいです。ローズマリーは抜き...

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