第55章 伝説の天敵

彼女の視線が天野真司の顔に落ちた瞬間、三久のどこか間の抜けた小さな顔が、みるみるうちにしょんぼりと崩れた。

「天野さん、いじめられたら言いつけていいって言ったじゃん!」

「うん、言ったな」

天野真司の黒い瞳が淡々と彼女を一瞥する。もう酒を飲む気が失せたのを確かめると、握っていた小さな手をゆっくり放した。

指先に残る柔らかさが、妙に気になって。引っ込めた指を、無意識にすり合わせる。

その返事を聞くなり、水島三久はぱっと立ち上がり、天野真司の腕をぐいっと引いて――そのまま彼の膝の上にすとん、と収まった。

動きがあまりに滑らかすぎて、同席していた数人が揃って固まる。

……え、今の何?...

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