第61章 嫉妬?

ほかの連中はともかく、天野真司なら……まだ可能性がある。

とくに、恋愛ごとに疎いくせに、以前彼女に焚きつけられて人前でイチャついたことまである、あの鈍感男だ。

水島三久は道中ずっとそのことを考えていた。天野真司に手を引かれるまま歩き、気づけば地下駐車場に停めてある車へ押し込まれている。

「水島三久」

不意に、車内に冷えた声が落ちた。

反射的に顔を上げると、天野真司の波ひとつ立たない黒い瞳とぶつかる。そこに感情は一切ない。何事もなかったかのように淡々としている。

――さっきまで、あんなことをしておいて。

唇の奥がじん、と痛む。あれがなければ、今のキスだって自分の幻覚だと思ったかも...

ログインして続きを読む