第64章 本当に心が動いた

天野真司は、そこで口を閉ざした。

池田守は、周りの空気がさっきほど重くないのをはっきり感じ取り、念のために付け足す。

「書斎の机、若奥様には少し高すぎるかと。それに女の子って、だいたいピンクとか、ふわっとした可愛いのが好きじゃないですか……若様の書斎とは、ちょっと方向性が……」

本当は「浮く」と言いたかった。だが、口に出す直前で言い換えた。

今の天野家は、若奥様のこととなると過敏だ。余計な地雷は踏まないに限る。

案の定、天野真司は淡々と池田守を一瞥しただけで、短く命じた。

「書斎に、彼女の好みで机一式を用意しろ」

「かしこまりました、若様」

書斎の雰囲気まで変える――若様がこ...

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