第7章 法律上の夫

さっき契約書にサインしたときは、あいつ、ひと言も余計なことを聞かなかったくせに。

なのに今さら、どうしてこんなに質問攻めなんだ――。

天野真司は目を細め、かえって水島三久という人間が読めなくなった。

視線が彼女の小さな顔をなぞる。密閉された車内。息が触れ合うほどの距離で、呼吸ひとつで絡まり合ってしまいそうだ。

深く吸い込んだ瞬間、肺の奥まで彼女の気配が染み込んでくる気がした。

「契約にないことなら追加すればいい。……それと、後の質問は――俺が嫌いだからだ」

淡々として、冷たく、情の欠片もない声。

水島三久は数秒じっと見つめ返し、きっぱりと言った。

「やだ。なんであなたの言うこ...

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