第85章 本当に彼女と関係があるのか?

ふいに、彼の長い腕に力がこもった。腕の中で、彼女の柔らかな腰がぎゅっと引き寄せられる。さっきまで形だけだった返しの口づけが、いきなり獲物を奪うみたいに強引に変わった。

近づきたい。手に入れたい。――独り占めしたい。

天野真司の焦りにも似た衝動が、そのまま動きに落ちてくる。芝居のはずだった水島三久は、どう反応していいか分からなくなった。

……アレルギーじゃなかったの?

これ、薬みたいに効き方が変じゃない?

まさか誰かにそういう薬を盛られて、その薬にアレルギーとか……?

勝手に脳内で最悪の仮説を組み立てた、その瞬間。

ちくり、と唇に痛みが走った。

天野真司、この男――噛んだ。

...

ログインして続きを読む