第9章 天野真司の心のしこり

「若奥様、毎朝の朝食は栄養士の指示に沿って組んでおります。栄養とビタミンの摂取は、きちんと確保できますので」

執事が頃合いを見て、気まずい空気をすっと断ち切り、丁寧に説明した。

水島三久は唇をむっと尖らせる。

「でも、ニンジンは苦手。トウモロコシのほうがいい」

「義姉さん! 俺のトウモロコシ、あげる!」

言い終わる前に、天野遊星が即座に食いついた。

トウモロコシは、彼の皿の中でいちばんの天敵だ。押し付けられるなら、こんなに幸せなことはない。

「天野遊星」

不意に、天野真司の冷えた声が落ちる。

「偏食は許さない」

さっきまで輝いていた遊星の顔が、みるみるしぼむ。

「……は...

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