第99章 好きか?嬉しいか?

 ――結局、何がしたいんだ。

 天野真司は箱の中から「心の箱」を取り出し、指先でそっと撫でた。しばらくその感触を確かめるようにしてから、また元の場所へ戻す。

 ゆっくりと口を開く。

「この数日、三久の身辺を固めろ。天野家の揉め事に、あいつを巻き込みたくない」

「承知いたしました、若様」

 夕暮れ。空が墨を落としたように暗くなり、天野家の旧宅では外灯がひとつ、またひとつと夜の中に灯っていった。

 水島三久は部屋でしばらく待っていたが、天野真司は戻ってこない。痺れを切らして着替えると、書斎のほうへ向かった。

 さっき流奈から連絡が入った。例のオークションで落とした品が、すでに天野真...

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