第6章

 アレスの神託は、触れられそうなほど濃い翳りとなって、アキローナ城の上空にべったりと張りついていた。

 三日の猶予は尽きた。「海神契約」に従い、セレン家とドレイク家の上層部は深淵聖廷へ赴き、裁きを受けねばならない――はずだった。だが、誰ひとり姿を見せない。

 面目と貴族の矜持を命より重く抱えた年長者たちは、砂に頭を突っ込む駝鳥のように現実から目を背け、古いアキローナ大広場に幾重もの防衛陣を敷いた。最後の、そして無意味な抵抗を試みるために。

 深淵を渡る気がないのなら――アレスが深淵を連れてくるだけだ。

 私はアレスの大きく厚い掌をきつく握り、彼と並んで、いとも容易く裂ける都市結界を抜...

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