第10章

アシスタントは慎重に傍らで報告を続けていた。

今回のマラソン大会の優勝賞品や最後の授賞式はすべて、学校のスポンサーである堀川純平が提供することになっていた。

しかし今、彼の視線は大スクリーンに釘付けになっていた。

現在、先頭を走っているのは10番の選手だ。

野口雅子は薄灰色のスポーツウェアを着て、ゼッケンを付けている。

なめらかな長い髪は、彼女がさっと手でお団子ヘアにまとめていた。

野口雅子の小さな顔は今、赤く上気し、懸命に前へと走り続けている。

このマラソンはすでに丸二時間続いていた。

野口雅子がここまで持ちこたえられたのは、彼女の根性と勝つという強い決意があったからだ。

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