第19章

野口雅子は無表情で、野口郁美が村上花子の顔に手を上げる様子を見ていた。

野口郁美はそれだけでは足りないと思ったのか、近くにあった羽はたきを取って村上花子に振り下ろした。

「あっ!お母さん!」村上花子は容赦なく羽はたきを食らい、痛みで叫んだ。

彼女の今の意地悪で気難しくわがままな様子は、学校で同級生の前で見せる弱々しくて可愛らしい姿とはまるで別人のようだった。

村上武治はこの光景を見ながら、こめかみをさすっただけで、妻が子供を叱るのを止めようとはしなかった。

一方、野口雅子は自分をずっと庇ってくれていたおばさんを見て、感動と心痛を感じた。まあいい、おばさんも叱った...

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